機能水は、「人為的な処理によって再現性のある有用な機能を獲得した水溶液の中で、処理と機能に関して科学的根拠が明らかにされたもの、及び明らかにされようとしているもの」と定義(日本機能水学会)されています。
電解水やオゾン水など各種の機能水が存在しますが、それらのほとんどは人体をはじめとして生物に使われるため、公的な許認可を得ることが求められます。そのためには、「品質(生成原理、生成機器と生成水の規格)」、「有効性」および「安全性」に関して公に受け入れられる科学的根拠を示すことが必要です。「電解水」はこれらの条件をクリアーしている代表的な機能水であり、人にも環境にもやさしく有効であることが特徴となっています。
水道水や薄い食塩水などを弱い直流電圧で電解処理して得られる水溶液の総称です。装置や電解条件などの違いにより色々なものがつくられますが、使用目的に基づき、洗浄消毒など衛生管理に使われる殺菌性電解水(強酸性電解水や微酸性電解水などの酸性電解水と次亜塩素酸ナトリウム希釈液とみなされている電解次亜水)と、持続的飲用による胃腸症状改善効果が明らかとなっているアルカリ性電解水(アルカリイオン水)とに大別されます。
pHが6.5以下の電解水を総称して酸性電解水と言います。各種の病原細菌やそれらの薬剤耐性菌(MRSAなど)に幅広く強い殺菌力を示し、医療、歯科、食品あるいは農業など多様な分野で利用されています。主な殺菌因子は電解によって生じる次亜塩素酸です。そのため、強酸性電解水と微酸性電解水が2002年に「人の健康を損なう恐れがない」ということから食品添加物に指定されたときに、「次亜塩素酸水」という名称も付与されました。
0.1%以下の食塩水(NaCl)を陽極と陰極が隔膜で仕切られた二室型電解槽内で電解し、陽極側において生じる次亜塩素酸を主生成分(20~60ppmの有効塩素濃度)とするpH2.7以下の電解水を強酸性電解水(強酸性次亜塩素酸水)と言います。同時に陰極側において生成される強アルカリ性(pH11~11.5)の電解水を強アルカリ性電解水といいます。
強酸性電解水生成装置は個別に、薬事法に基づく認可申請がおこなわれ、これまでに下記の用途を目的とした医療用具(薬事法改正に伴い、医療機器製造販売承認)として認可されています:1996年「手指の洗浄消毒」、1997年「内視鏡の洗浄消毒」。また、2002年に次亜塩素酸水という名称で食品添加物に指定されました。
表1に示すように、強酸性電解水(有効塩素40ppm)は高濃度(1,000ppm)の次亜塩素酸ナトリウムに匹敵する抗菌・抗ウイルス活性(高いノロウイルス不活性化活性も示す)を示します。これは、殺菌因子である次亜塩素酸(HClO)の存在率が、強酸性電解水では約90%であるのに対し、次亜塩素酸ナトリウムはアルカリ性なので5%以下に留まり、95%以上が活性の微弱な次亜塩素酸イオン(ClO¯)として存在するためです。ただし、次亜塩素酸は有機物と容易に反応するので有機物が多いと、強酸性電解水の殺菌力は著しく低下します。このことを克服するために、油脂やタンパク質の除去効果が高いことが明らかとなった強アルカリ性電解水で殺菌対象をまず処理してから強酸性電解水で処理する方法が有効な方法として採用されています。
安全性に関しては表2に示す各種の試験が行われ、高い安全性が確認されています。
【表1】強酸性電解水の殺菌ポテンシャル
| 微生物・ウイルス | 強酸性電解水 | 次亜塩素酸ナトリウム |
|---|---|---|
| Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌) | < 5秒 | < 5秒 |
| MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) | < 5秒 | < 5秒 |
| Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌) | < 5秒 | < 5秒 |
| Escherichia coli(大腸菌) | < 5秒 | < 5秒 |
| Salmonella?sp.(サルモネラ菌) | < 5秒 | < 5秒 |
| その他の栄養型病原細菌 | < 5秒 | < 5秒 |
| Bacillus cereus(セレウス菌) | < 5分 | < 5分 |
| Mycobacterium tuberculosis(結核菌) | < 2.5分 | < 30分 |
| その他の抗酸菌 | < 1~2.5分 | < 2.5~30分 |
| Candida albicans(カンジダ菌) | < 15秒 | < 15秒 |
| Trichophyton rubrum(トリコフィトン) | < 1分 | < 5分 |
| その他の真菌 | < 5~60秒 | < 5秒~5分 |
| エンテロウイルス | < 5秒 | < 5秒 |
| ヘルペスウイルス | < 5秒 | < 5秒 |
| インフルエンザウイルス | < 5秒 | < 5秒 |
※105-6の菌またはウイルスを0.1mlの強酸性電解水(有効塩素40ppm)と次亜塩素酸ナトリウム(有効塩素1000ppm;ミルトン)が殺菌または不活性化に要する時間
強電解水企業協議会編「強酸性電解水使用マニュアル」より引用
【表2】強酸性電解水の安全性試験
| 急性経口毒性 | 急性眼刺激性 | 皮膚感作性 | 口腔粘膜刺激性 |
| 細胞毒性 | 復帰突然変異原性 | 染色体異常誘起性 | 亜急性毒性 |
| 皮膚一次刺激および皮膚累積刺激性 | 1年間反復投与毒性 ⁄ 発ガン性併用試験 | ||
| ボランティア対象皮膚試験 | トリハロメタン生成試験 | ||
※強電解水企業協議会編「強酸性電解水使用マニュアル」より引用
微酸性電解水は、陽極と陰極が隔膜で仕切られていない一室型電解装置で2~6%塩酸水を電解することによって生成されるpHが5~6.5で、有効塩素が10~30ppmの次亜塩素酸水溶液で、生成水すべてが殺菌水であることが特徴的です。強酸性電解水と同様の抗菌・抗ウイルス活性を示します。安全性試験に関しても同様です。
【表3】微酸性電解水の抗微生物効果(20℃、1分処理、有効塩素濃度10ppm、pH6.0)
| 微生物 | 処理前(CFU ⁄ ml) | 処理後(CFU ⁄ ml) |
|---|---|---|
| 大腸菌(Escherichia coli O-157) | 1.6×107 | < 1 |
| サルモネラ菌(Salmonella Enteritidis) | 6.2×106 | < 1 |
| 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) | 9.9×105 | < 1 |
| 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa) | 1.5×106 | < 1 |
| カビ分生子(Cladosporium sp.) | 1.0×104 | < 1 |
| 酵母(Saccharomyces sp.) | 2.1×106 | < 1 |
※強電解水企業協議会編「微酸性電解水使用マニュアル」より引用
下図に示すように、pH範囲が微酸性電解水と強酸性電解水の間を埋める弱酸性電解水が、食品安全委員会の審議を通過していることから近々認可される見通しです。弱酸性電解水も強酸性電解水や微酸性電解水と同等の活性と安全性が認められています。なお、pHが7.5未満の電解水を包括的な規格の次亜塩素酸水としてまとめる動きがあります。

アルカリイオン水は、アルカリイオン整水器と通称される家庭用電解水生成器を用いて、飲用適の水を電気分解することにより生成される弱アルカリ性(pH9~10)の飲用電解水の通称です。なお、家庭用電解水生成器とは、薬事法施行令において「器具器械83 医療用物質生成器」に分類される家庭用医療機器の呼称です。 アルカリイオン水の効能効果については、厳密な比較臨床試験が実施された結果、医療用具として承認を受けている以下の効能効果が確認されました。すなわち、「慢性下痢、消化不良、胃腸内異常発酵、制酸、胃酸過多」に有効です。また、便秘に対しても改善効果が認められました。現在では、薬事法の改正(2005年)に伴って「胃腸症状の改善効果」があると改められました。詳しくは、当財団発行の小冊子「アルカリイオン整水器とアルカリイオン水」あるいは、アルカリイオン整水器協議会ホームページをご参照下さい。


